現在、日本でコメの先物取引の試験上場が行われています。2011年前に上場して2年間試験を行いましたが、延長してもう2年試験をやるということで来年(2015年)まで取引が続けられます。東京市場と大阪市場があり、特に大阪堂島の市場は世界最初の商品先物取引が行われた歴史のあるところです。

 うまく市場が回り出すと本当にコメ先物市場ができるはずですが、自民党やJA全中(全国農業協同組合中央会)がコメ先物市場の開設に反対しています。

 自民党は「コメ価格の大きな変動や、農家の所得基準が乱高下」を招くと批判し、全中は先物取引を「投機的なマネーゲームだ」と断じ、コメの需給と価格の安定をはかる立場とは矛盾するとして反対しています(参考:「コメの先物取引試験上場認可に抗議 農林部会・水田農業振興議員連盟」、JA全中の「米先物取引の試験上場延長認可に対する談話」)。

 これは非常に悩ましい問題です。試験上場にOKを出した当時の民主党政権が悪いのか、自民党やJA全中が間違っているのかは、コメ先物市場がどの程度の規模まで成長するかによって変わるからです。

商品先物取引の仕組み

 日本の先物取引のルーツは大阪堂島ですが、現在世界中で行われている先物取引の源流は、アメリカで作られたものです。目的は農家の保護でした。19世紀、アメリカでは農家が秋に小麦やトウモロコシなどを作って売ろうとしても。収穫直後には作物がだぶついて低価格で取引せざるを得ませんでした。

 しかし、秋を過ぎると今度は需要が大きすぎて値上がりしてしまい、穀物価格は乱高下する状態だったのです。これではいけないということで作られたのかシカゴの穀物先物取引所です。