政権末期になると次々と政府関係者が関与した大型経済事件が発覚することが韓国では多いが、今回もまた首をかしげるような事件が明るみに出た。

 その名は、「カメルーンダイヤモンド事件」。

推定埋蔵量4.2億カラットのダイヤモンド鉱山開発権を取得!?

 政府の2度の発表でダイヤモンド開発業者の株価が急騰し、その直後に政府関係者と家族や親戚がこの企業の株式を売却して利益を得ていたというインサイダー疑惑だが、背景には政権内の権力闘争も絡み、李明博(イ・ミョンバク)政権が掲げてきた「資源外交」そのものも揺るがしている。

 ソウル中央地方検察は2012年1月30日、外交通商部(日本の外務省に相当)を5時間にわたって強制捜査した。「カメルーンダイヤモンド事件」の捜査のためで、外交通商部は検察の強制捜査を受けたのは初めてだという。

4Cを超えた約束Forevermarkダイヤモンド

「カメルーンダイヤモンド事件」が韓国の資源外交を揺るがしている(写真はダイヤモンドの原石)〔AFPBB News

 事件の顛末はこうだ。ダイヤモンド関連事業の経験がない店頭公開企業CNKインターナショナル(以下C社)が2010年末にカメルーン政府から同国東部でのダイヤモンドの開発権を取得した。

 この直後に外交通商部が、「カメルーンでのダイヤモンド開発権取得に関連して」という報道発表資料を配布した。

 事件を調査した監査院の報告書によると、民間企業の活動に関して政府が報道資料を配布することは過去に1件しかなく、極めて異例だ。

 それ以上に中身も政府発表とは思えないものだった。「開発権を取得した地域のダイヤモンドの推定埋蔵量は約4.2億カラット(国連開発計画=UNDP=調査、および韓国内の大学探査チーム探査結果)」とあり、「世界の年間ダイヤモンド生産量は約1.7億カラット」という説明までつけた。

政府発表の「お墨付き」で無名企業の株価が暴騰

 さらにこのプロジェクトを「民間企業が主導し、政府がこれを支援する民・官資源開発協力の成功モデル」と賞賛した。

 すごい埋蔵量のダイヤモンド開発権をC社が取得した。政府の発表だから、誰もがそう思うはずだ。C社の株価は、発表から24日間で4.6倍に急騰した。