(英エコノミスト誌 2009年5月2日号)
昔から経済危機に陥りがちな中南米諸国は、その評判を覆しつつある。しかし、この世界的な景気後退からは逃れることはできなかった。
経済危機は慣れっこの中南米諸国だが、今回はパニックに至っていない(写真はブラジルのコルコバードの丘に立つキリスト像)〔AFPBB News〕
中南米諸国の多くの人は最近まで、今回の金融危機と世界的な景気後退は、どこかよそで起きている出来事だと思っていた。
しかしこの半年間で、工業生産が2ケタの落ち込みを見せ、中南米経済は世界のほかの地域と足並みを揃えるように急速に悪化していった。メキシコの自動車工場で、ブラジルの航空機工場で、そしてペルーの建築現場で、労働者はレイオフされた。
悲しいかな、中南米の人々にとって、そのような災難は珍しいことではない。
中南米では1980年以降、国民1人当たりの所得が落ち込む局面が5度あった。今回は何が違うのかと言えば、中南米諸国の状況が世界のその他地域と比べてさして悪くないということだ。
そして今回の中南米の景気後退は、比較的短期かつ緩やかなもので済むかもしれないと考える理由がある。それはお祝いするようなことではないかもしれないが、多少の慰めにはなるだろう。
しかし、悪いニュースはかなり深刻だ。中南米諸国は今、4つの異なる景気後退要因に襲われている。
先進国の金融危機が製造業の崩壊に転じると、貿易が急減した。中南米地域の経済規模が大きな上位5カ国では、昨年8月から12月にかけて輸出総額が3分の1減少した。モノの販売量が減少したほか、コモディティー(商品)価格の下落も響いた。
中南米への資本フローも干上がり、政府と企業の借り入れコストの急増を招いた。金融機関の業界団体である国際金融協会(IIF)は、今年、中南米に流れ込む民間資金の純流入額が前年実績の半分以下の430億ドルまで落ち込むと予想している(2007年に記録した1840億ドルから大幅な減少となる)。
コモディティー価格の下落も響いた(写真はブラジル南東部の鉄鉱山)〔AFPBB News〕
外国の銀行は、特に貿易金融を中心に、信用枠を削減した。さらに外国で働く中南米人からの送金が減り始める一方で、訪れる観光客も減少した。
大方のエコノミストは、中南米およびカリブ海沿岸諸国全体の国内総生産(GDP)が今年わずかに縮小するが、来年は緩やかに回復すると考えている。
例えば国際通貨基金(IMF)は、2009年にGDPが1.5%縮小し、2010年に1.6%拡大すると見ている。ただ年間1.3%の人口増加率を考慮すると、1人当たりの所得は減少することになる。
これらすべての要因によって、概ね低インフレが続く中で平均5.5%の経済成長を記録した5年間が突然の幕切れを迎えた。
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