米労働省から6日に発表された米2月の雇用統計は、世界経済のコアであり、「ドミノ倒し」の起点である米国で、雇用情勢悪化が一段と進んでいることを示す内容になった。

 

 

 2月の失業率は前月比0.5ポイントの急上昇で、8.1%になった。1983年12月以来の高水準。昨年12月、今年1月と0.4ポイントずつ跳ね上がってきたが、今回は上昇ペースが加速した。

 前回1月分の米雇用統計リポートで紹介したように、上記はU-3と呼ばれる、文民の(=軍人を除いた)労働力人口に対する失業者数の割合である。その他の定義に基づく2月分の数字を見ておくと、労働市場の状況ゆえに現在求職活動を行っていない「あきらめ」的な労働市場退出者(discouraged workers)を分子・分母に加えて計算したU-4は、8.5%(前月比+0.5ポイント)。現在は働いていないし求職活動もしていないが、就職の意志と用意はあり、そう遠くない過去に求職活動した経験がある者(marginally attached workers;これにはdiscouraged workers も包含される)を加えて計算したU-5は、9.3%(前月比+0.5ポイント)。また、“marginally attached workers” に、フルタイムの職に就く意志と用意があるものの、経済情勢ゆえにパートタイムの仕事にとりあえず落ち着いている者(persons employed part time for economic reasons)を加えたU-6は、14.8%(前月比+0.9ポイント)という高水準になった。

 

 2月の非農業部門雇用者数の前月比増減は、▲65万1000人になった。こちらは筆者の予想に沿った数字である。昨年12月分と今年1月分は、大幅下方修正された(計▲16万1000人)。月々の振れを均してトレンドを見るために後方6カ月移動平均を取ると、昨年12月から今年2月分まで、▲30万人台から▲50万人台へと、大台が毎月塗り替わっている。雇用情勢悪化は、米国の過剰消費そぎ落としプロセスを加速させることにつながる、追加的な要因である。値の張る耐久消費財である自動車販売の大幅な落ち込み継続などを通じて、産業秩序の変化にもつながってくる。