(英エコノミスト誌 2009年3月7日号)
麻薬を禁止する政策は失敗に終わった。合法化こそ「最もまし」な解決策である。
アフガニスタンは世界最大のケシ栽培国〔AFPBB News〕
今からちょうど100年前、各国の外交官が中国の上海に集まり、麻薬取引の禁止を目指す初の国際的な取り組みを開始した。1909年2月26日、彼らは国際アヘン委員会の設置で合意した。
英国がアヘンを売る利権を巡って中国と戦争をした、ほんの数十年後のことである。
国際アヘン委員会の発足以降、精神状態を変容させる薬物が数多く禁止された。1998年には国連総会の宣言により、加盟国が「麻薬のない世界」の実現と、2008年までにアヘン、コカインおよび大麻生産の「根絶、または大幅な削減」を目指すことを確認した。
これはまさに、政治家が好む種の約束事だ。というのも、こうした約束は1世紀に及ぶ麻薬の禁止政策に伴う道徳的な動揺を静めてくれる。目的は、10代の子供を持つ世界中の親を安心させることだ。
しかし、これは極めて無責任な約束だ。決して果たせない約束なのだから。
近く、各国の大臣がオーストリアのウィーンに集まり、今後10年間を見据えた国際的な麻薬対策のあり方を定める。第1次世界大戦の司令官たちがそうだったように、多くの国は、これまでの対策を強化すればいいと主張するだろう。
しかし、これまでの麻薬との戦いは大失敗だった。発展途上国において破滅国家を生む一方で、先進国では麻薬の依存症が広がるばかりだった。どんなまともな基準で見ても、この100年間の苦闘は、ただ自由と人命を奪うだけの、無意味な苦闘だった。
だからこそ本誌(英エコノミスト)は、「最もましな」対策は麻薬の合法化だと主張し続けているのである。
「最もましな」というのは、「良い」を意味するわけではない。合法化は、麻薬の生産国には間違いなくためになるとはいえ、消費国には(従来と異なる)リスクをもたらす。以下で概説するように、弱い立場にいる多くの麻薬使用者は苦しむことになるだろう。ただし、それがプラスに働く人の方が多いというのが本誌の見解だ。
失敗の証拠
最近では国連薬物犯罪事務所(UNODC)も、「麻薬のない世界」について口にしなくなった。代わりに同事務所が自慢にしているのは、麻薬の市場が「安定」したことだ。全世界の成人のほぼ5%に相当する2億人超が現在も違法な薬物を使用している。これは10年前とほぼ同じ割合だ。
(もっとも、薬物のデータと言われるものの大半がそうであるように、これは知識に基づく推測に過ぎない。証拠に基づく厳密なデータは、麻薬が非合法化されたことで犠牲になったものの1つだ)
コカインとアヘンの生産量も恐らく10年前と同程度で、大麻は増加している。コカインの消費量は、米国では1980年代前半をピークに徐々に減ってきた。しかし、減少傾向には揺り戻しもあり(1990年代の中頃よりは現在の方が消費量が多い)、欧州を含む多くの地域では消費が増えている。
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