韓国与党「共に民主党」の候補に選出された京畿道知事の李在明(イ・ジェミョン)氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

(田中 美蘭:韓国ライター)

早くも分裂の兆しが見える与党陣営

 2021年3月の次期大統領選挙が近づく中、韓国与党「共に民主党」の候補として現・京畿道知事の李在明(イ・ジェミョン)氏が選出された。今後、野党側も正式な候補を選出した上で、本格的な選挙活動が始動することとなる。

 李氏の選出を巡って、日本では李氏を有力候補と目し、早くも警戒や日韓関係のさらなる後退を危惧する見方が広がっているが、ここ韓国では、必ずしも李氏が有力、安泰とは言い切れない状況である。

 韓国の大統領選挙では、投票までに疑惑や党内分裂など毎回波乱がつきものだが、李氏の選挙戦も、不透明で混乱を予感させるものとなりそうだ。

 韓国では、今年前半から与野党ともに大統領選挙を見越した動きが始まっている。これまで大統領候補として名が挙がっていたのは李氏の他に、同じく与党の李洛淵(イ・ナギョン)氏、そして野党は元検察総長の尹錫悦(ユン・ソギョル)氏、洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏である。

 先日、与党「共に民主党」の公認候補を選出する投票で李在明氏が選ばれたものの、李洛淵氏の善戦により、辛うじて過半数を獲得した。この結果に対して、李洛淵氏は無効票が含まれていたことに言及。「結果を受け入れない」とした上で、再度「決選投票をすべき」と主張した。

 本来、大統領選挙では保守(右派)対革新(左派)という構図があり、そこに中道が票を分けるというのが通常の展開である。ただ、与党内では李在明氏の醜聞や疑惑の多さなどから反感を持つ者も多いとされる。野党の政権奪還を阻止するためには与党内での連携が不可欠だが、早くも不協和音と波乱を予感させている。今後、李洛淵氏がどのような対応をしていくかも与党内では頭の痛い問題だ。