ベトナム・ハノイの街なみ(撮影:姫田小夏)

(姫田 小夏:ジャーナリスト)

 “コロナ封じ込め”の成功国として知られるようになったベトナム。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)に続き、今回の新型コロナウイルスでも初期対応の機敏さが奏功し、2020年は高い経済成長率を維持することができた(ただし現在は変異株の感染が拡大し、予断を許さない状況である)。

 ベトナムでは今、国産ワクチンの開発が進んでいる。ホーチミン市に本社を置くナノジェン製薬バイオテクノロジー社が開発するのは、組換えタンパク質ワクチンの「ナノコバックス(NANOCOVAX)」だ。WHO(世界保健機関)のホームページには、有効なワクチン候補としてすでに登録されている。

ベトナムの国産コロナワクチン「ナノコバックス(NANOCOVAX)」(出所:ナノジェン製薬バイオテクノロジー社ホームページ

「ハノイタイムズ」によれば、今年(2021年)5月5日、ベトナムとインド、バングラデシュなどで1万~1万5000人が参加する第Ⅲ相臨床試験が始まった。2022年初頭までに大規模生産と広範な接種が開始できるよう、今年末までに臨床試験を完了する予定だという。当初見込まれるワクチンの生産能力は、年間1000万~2000万回分。人口9648万人の需要を満たすために年間5000万~7000万回分への増産も計画している。