文在寅政権の誕生を支えたフェミニズム勢力(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 文在寅政権の発足と軌を一にして燃え上がる韓国のフェミニズム運動「Kフェミニズム」。だが、女性運動家の中心は「反米・反日・自主統一運動」を基調とするNL系であり、これとラディカルフェミニズムを結合したものが「Kフェミニズム」の本質だ。女性の生活向上ではなく、上層部のエリート女性の権力と権限を強化する手段に過ぎない。韓国の作家でコラムニストのオセラビ氏がKフェミニズムを斬る。

(オセラビ:作家・コラムニスト)

 韓国社会にフェミニズム運動の旋風が巻き起こって約7年になる。まさしく革命といえるほどの勢いだ。「7年」とは、新進のフェミニスト勢力であるヤングフェミニスト(Young Feminist)が大挙登場してからの年数である。

 ヤングフェミニストは韓国の女性運動の歴史において、かつてないほどラディカルなイデオロギーで武装し、男性を攻撃し続けてきた。若い女性たちは植物に水を注ぐがごとくフェミニスト思想を頭に注入し、それは強力に作用した。反面、若い男性たちはフェミニズムの波に戸惑い、途方に暮れた。男女の階級闘争に飛び火した葛藤は、性の戦争ともいえる様相を呈した。

 このようにして、男女の間を冷たい漢江(ハンガン)が遮ることになる。私が以前から懸念してきた男女の分離現象だ。どんな社会運動であれ、極端かつ威嚇的に進めようとすれば、社会的共同体の秩序は分裂に突き進む。

 韓国の建国以来、男女の対立は頂点に達している。とりわけ若い世代では事案の大小を問わずことごとく衝突している。フェミニズム運動がもたらした文化戦争といっても過言ではない。愛のフェロモンに満ちているはずの若者が、男女に分かれて互いを嫉視するようになった根本的な原因は、フェミニズムというイデオロギーにある。いかなるイデオロギーであれ過度に作用すれば、暴力と狂気を伴うのだ。

 西欧の女性運動は長い歴史の中、社会的・政治的・経済的変化を経て発展した。ところが、韓国のフェミニストは西欧における長い歴史を一気に圧縮し、女性運動キャンペーンとして作り上げた。

 初期のフェミニズム運動は、梨花(イファ)女子大学で1977年に女性学が開設されて以来、主に大学の教壇にとどまっていた。フェミニズム運動が一部のフェミニストによる主張と闘争に限られていたということだ。

 しかし2015年、ラディカルなフェミニストによって「メガリア」というインターネットコミュニティサイトが開設される。その後、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じ、フェミニズムの勢力は短期間で雪だるま式に大きくなっていった。