スコット・モリソン豪首相(写真:AAP Image/アフロ)

 米フェイスブックがオーストラリア国内のサービスでニュース記事の共有・閲覧を禁じた措置を巡り、世界に波紋が広がっている。

カナダも法案準備中

 米ウォール・ストリート・ジャーナルは2月19日、英議会デジタル・文化・メディア・スポーツ委員会のジュリアン・ナイト委員長が「極めて無責任」と非難したと報じている。

 また、カナダのスティーブン・ギルボー文化遺産相もフェイスブックの対応を「無責任だ」と批判し、カナダでもオーストラリアと同様の法制化を進めていると明らかにした。同氏は、オーストラリアをはじめフィンランド、ドイツ、フランスのカウンターパートである大臣らと協議したという。フェイスブックの公開ページに「同様の規制を導入する国が増えれば増えるほど、フェイスブックは今回の措置を継続しづらくなる」と書き込んだ

 米国でも連邦議会下院の反トラスト小委員会のデビッド・シシリーニ委員長がフェイスブックを非難したと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

FB「報道機関との関係を根本的に誤解している」

 豪政府は、IT大手に対し記事使用料の支払いを事実上義務付ける法案の成立を目指している。法案では、報道機関が使用料の支払いを求めた場合、IT大手は交渉に応じる義務を負うとしている。双方が合意できなかった場合は政府が任命する仲裁人が使用料を決める。

 フェイスブックはこれに反発。2020年2月18日、豪国内サービスで、同国報道機関と海外報道機関の記事を遮断。豪報道機関の記事を世界中で閲覧できなくした。利用者が報道機関のページから記事リンクを投稿しようとすると、「共有できません」とメッセージが表示される。

 報道によると、オーストラリアでは同18日、慈善団体や公共サービス、政府機関、中小企業など数十の公開ページのコンテンツが削除された。同日夕方までに一部復旧したものの、「人々が重要な情報にアクセスできなくなる恐れがある」との懸念が広がったという。

 フェイスブックは声明で「法案はニュースコンテンツの定義を明確に示していない。我々は法案を尊重するためニュースを広い定義で解釈した。ただし不注意で削除したものは復旧させる」と述べた。

 同社は「報報道機関は自主的に記事をフェイスブックに投稿しており、サブスクリプション(定期購読)サービスの販売につなげている」と説明。「(法案は)我々のプラットフォームと報道機関の関係を根本的に誤解している。他のウェブサイトからコンテンツを集めて表示している検索エンジンとは違う」と主張している。