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(高橋 義明:中曽根平和研究所・主任研究員)

 欧州の現在の感染爆発は、感染者のゲノム配列の分析によるとスペインの北東部からバカンスによって各地に拡散した可能性が指摘される。日本でも感染が各地で急拡大し、「第3波到来」にGo Toキャンペーンの影響を指摘する声も聞かれる。

 一方、政府発表によるとGo Toトラベルが7月22日に始まってからの感染者は、利用者で31都道府県の84施設(北海道12、東京9、大阪7など)を利用した138人、従業員で21都道府県の74施設(東京21、沖縄8、北海道・福岡6など)の133人(11月12日時点)とされる。Go Toトラベルの利用者が2518万人泊(9月末時点)、3976万人泊(10月末日時点)とされるのに対して感染者はごく少数に見える。加藤官房長官もGo Toトラベルについて「利用者に起因して旅行先のホテルや観光施設の従業員に感染が広がったという報告は受けていない」(11月10日)と述べている。

 Go To Eatについては10月1日に開始され、利用者は1091万人(10月15日時点)とされる。感染者については北海道、大阪、千葉などの参加飲食店で従業員計16人が報告されたが、利用者ではゼロだという(11月10日時点)。菅総理は11月13日、記者団のGo Toへの対応に関する質問に「専門家も現時点において(Go To見直しの)そのような状況にはないという認識を示している」と答え、専門家の判断に委ねている。

 どのような政策も上手く行っているのか、上手く行っていないのであればどのような影響がみられたら政策を休止するか、そうした判断には政策の適切な効果測定が不可欠である。では、Go Toトラベル、Go To Eatの効果と影響はどのように測定されているのであろうか。

Go Toキャンペーンの「便益」と「費用」

 政策評価は世界的に「費用便益分析」が活用されることが多い。費用便益分析では、政策が行われた場合と行われない場合の便益と費用を計算し、便益と費用のどちらが多いかを比較する。費用が便益を上回ると政策中止などの判断がされる。

 便益には、事業者の利益や消費者の効用などが政策によってどれだけ増えたかが含まれる。費用は事業実施経費などである。道路整備の例で言えば、便益には渋滞緩和による交通時間の短縮やガソリン代などの経費の節減効果、そして交通事故の減少などが挙げられる。一方、費用としては道路整備・維持費用や自然環境の悪化などが該当する。