2013年12月6日、訪韓し、朴槿恵大統領(当時)と会談する副大統領時代のジョー・バイデン氏(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

 大混戦となった米大統領選の行方が、「バイデン氏勝利」に大きく傾いてきた。この事態を受け、韓国の文在寅政権は、新しい米国大統領の誕生がもたらす朝鮮半島の情勢変化に緊張している。

「米大統領選挙の結果がどう出ようと、韓国政府は韓米同盟を維持するのはもちろん、さらに発展させていくための協力を続けていくだろう。新たに発足する米政府と韓半島の非核化および平和体制達成のために積極的に協力し、どの政府とも韓米両国間が協力してきた伝統に沿って緊密に疎通していく。政府は今日の午後3時NSC(国家安全保障会議)常任委員会で米大統領選挙状況を議論し、次いで、その結果を文在寅(ムン・ジェイン)大統領に報告する会議を開く予定だ」

 5日、韓国大統領府の定例記者会見で、大統領府のスポークスマンは米大統領選挙に対する原論的な立場だけを簡単に述べ、韓国政府の具体的な対応策を問う記者たちの質問には一切答えなかった。

韓国政府もメディアも「トランプ再選」待望

 韓国メディアや外信の報道によると、文在寅政権は、内心ではトランプ大統領の再選を願ってきたとみられる。まず、米「ニューヨーク・タイムズ」は10月31日、「米国が指導者を選ぶ瞬間を全世界が息を殺して見守っている」という見出しの記事で、韓国政府はトランプ氏の再選を望んでいるが、韓国国民はバイデン氏の当選を望んでいると分析した。

「韓国の文在寅大統領は、トランプ氏の北朝鮮の指導者の金正恩氏との外交的関与を公開的に支持してきた。このような方式が、バイデン氏が再開するとみられる低い水準の対話(実務者会談など)よりも、突破口を見いだす機会が多いと見ているからだ」

 政府寄りの韓国メディアも同じ立場でトランプの再選を期待した。

 ソウル市が市民の税金を投入している公営放送のTBSでは7月から<米朝対話を見たいなら、バイデン候補に投票してはいけない>、<バイデン候補が米国大統領になったらバラク・オバマ大統領時代の外交政策をそのまま踏襲し、北朝鮮に関してはタカ派(強硬派)でホワイトハウスが埋まるだろう>などの発言をした。