(写真:ロイター/アフロ)

(山田 珠世:上海在住コラムニスト)

 中国電子商取引(EC)最大手の阿里巴巴集団(アリババグループ)が、中国の宅配業界地図を自分色に染めようとしている。

 宅配大手の申通快遞は今年(2020年)9月21日夜、アリババが自社の株式を従来の14.65%からさらに10.35%取得し、持ち株比率を計25%に増やしたと明らかにした。申通の会社支配権を持つのが、創業者兄妹であることに変わりはない。ただ、アリババは2022年12月27日までに、さらに申通から約20%の株式を取得できる資格を持つことで合意しており、それが実現すればアリババは申通の実質的な支配者となる。

 宅配便企業の圓通速遞も同じく9月21日夜、アリババのグループ会社などが同社の持ち株比率を従来の10.5%から22.50%に拡大すると発表。譲渡手続き完了後も引き続き創業者などが支配権を持つものの、アリババは圓通の第2株主となる。

 アリババは今年4月には、宅配大手の韻達快運の株式を2%取得。百世快遞を傘下に持つ百世集団についても同6月、持ち株比率を33%まで引き上げ筆頭株主となった。

 さらに中通快遞については8.7%を保有しており、「四通一達」と呼ばれる中国宅配大手5社すべての株式を手中に収めた状態だ。