韓国ソウルにあるサムスン電子本社ビル

 先週韓国の株市場では「王様の帰還」に沸いた。

 コロナ禍により株価が暴落した3月から始まった東学アリ運動により買い占められたサムスン電子株が意外と伸び悩み、今年から新規に株取引を始めた人たちはサムスン電子株を売って、他の株に乗り換えていた。

 ところが、韓国の時価総額で不動の1位、「王様」のサムスン電子株が、重い腰をやっと上げたかのように、6万ウォンという大台に乗ったからだ。

 なぜ、王様の帰還となったのか。その裏には米国のファーウェイ制裁と米インテルの暴落、ついでにドル安がある。

 米国のドナルド・トランプ政権は、中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)に対する制裁措置の再強化に踏み切った。

 理由としては、「米国の法律を迂回し、米国由来の技術が使われた代替チップを生産したり既成チップを調達したりするのを防ぐため」としている。

 しかし、韓国から見ていると、米中経済戦争の言いがかりにしか思えない。

 すでにファーウェイは、米国から最初の制裁の話が出た時に、1年分以上の半導体チップの在庫を確保したと伝えられる。

 そのため、ファーウェイの主取引先であるサムスン電子やSKハイニックスの今年の第1四半期の半導体売り上げは記録的な黒字であった。

 実際、サムスン電子の売り上げの3%、SKハイニックスの売り上げの11%はファーウェイが占めている。