チューナーがない時代、楽器の調律はどのようになされてきたのか

 8月、新型コロナウイルス感染症の拡大で短い夏休みとなりました。そこで親子で考える夏休みの問題を差し上げましょう。

 私は音楽の人間です。当然、音楽から出題します。今回は本腰を入れていますので、ちょっと長いです。夏休みを楽しく有意義に過ごしたいという親と子にお送りします。

 さて、どういうわけか、学校で習う音楽は、好きな生徒と嫌いな生徒に分かれます。

 でも、学校でよそ行きの音楽が嫌いなティーンが、自分の部屋でギターを弾いたり、友達とバンドを組んでケーオンしたりするのは、大好きな人が多いですね。

 そういえば、ユーフォニアムを吹く話がアニメになったりもしました。

 京アニ事件から丸1年のタイミングで、特に追悼コラムなど準備しなかったこともあり、ギターやベースを弾いたり吹奏楽で合奏したりするとき、必ず誰もが行う「チューニング(調律)」から出題してみます。

 ドレミファソラシドの音階で、ト音記号中央のラの音を440ヘルツ、つまり1秒間に440回振動する音程に合わせます。

 なぜ、「440ヘルツ」なのでしょう?

「オーセンティック教育」の勧め

 ここで、こういう出題の背景、意図を記しておきます。

 実はこの問題は先週、東京藝術大学の3年生たちに出題し、侃々諤々の大論争で大いに楽しかった内容を基に記しています。

 新型コロナウイルス対策で、在宅学習が長くなる傾向があり、子供たちも親御さんもいろいろ困惑しておられることでしょう。

 珍しく東大教官ヅラして言わせていただくなら、小学校低学年の勉強は、どうか親御さんが一緒に「考えて」上げてください。

「教え」なくても良いのです。ただ、関心を持つ。一緒に考えてやる。できたら「へー」「よくできたね」とほめてあげる・・・。

 こんな程度の親と子の心のつながりが、子供を勉強嫌いにせず「主体的好奇心」を育てることに繋がります。

 私は週刊文春などに「東大卒の東大教官」などと色塗りされたこともあります。が、東大の中ではある意味非常に珍しい、三毛猫のオスくらいに希な「珍獣」音楽実技の教官で、およそ保守本流の部局にはおりません。

 と同時に、学統という意味では、保守本流の最右翼の中でも極右か、あるいは最左翼の中の極左か、よく分かりませんが、伝統的なスーパーサイエンススクールから理学部物理学科に進んだ、旧制高校大学以来の教養諸学良心の純結晶みたいな面があり、それで徹底していますので、十分閉口もされます(苦笑)。

 今回は、そういう東京大学の中でも「保守本流」の教養主義の権化として開き直って記したいと思います。