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 連載「ニューノーマル時代の大学」の第4回。春から夏までの数カ月間、大学はほぼリモート教育に切り替わり、教師と学生とはパソコンやスマホを介して向き合うようになった。専修大学商学部の渡邊隆彦准教授が大学の教育現場最前線から、学生、教師、事務職員を含む、ヒトと大学との新しい関係を解き明かす。何の反応もない200体の“コケシ”に向かって講義をする辛さ・・・。渡邊准教授が語る、リモート授業で待ち受けていた想定外の難しさとは?(筆者:渡邊 隆彦、構成:鍋田 吉郎)

 前期授業はすべてリモートで実施する――そう大学の方針が示された3月からゴールデンウィーク明けの授業開始までの間、私は突貫工事で事前準備を進めました。どのような授業にするかのシミュレーション、リモート授業に最適化した講義資料の作成、パソコンやインターネットなど自宅のハード環境の整備・・・(第3回参照)。しかし、実際にリモート授業がスタートすると、そこには想定外の苦労が待ち受けていました。 

 まず、聴き手から何の反応もないまま1コマ=90分間にわたって話し続けることが、こんなに疲れることだとは予想していませんでした。