(藤谷昌敏:日本戦略研究フォーラム政策提言委員・元公安調査庁金沢公安調査事務所長)

 戦後の米国は世界最大の貿易黒字国だったが、1970年代からは双子の赤字に悩むようになり、歴代大統領の金融政策の誤りもあって、2008年のリーマンショック、2013年には自動車王国の象徴だったデトロイトまでもが財政破綻した。

 そして、2020年、世界最強の防疫機関である「疾病対策予防センター」(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)を抱えながら、新型コロナウィルスの蔓延を防ぐことができなかった。

 米国の感染者数は229万837人、死亡者数は12万1301人(6月20日現在)となり、ベトナム戦争での死亡者5万8220人どころか、第1次世界大戦の死亡者11万6516人を上回った。その経済損失は、最悪で1.8兆ドルに上る(米国ブルッキングス研究所)。