3連休明けとなる17日の米国市場で、株価が急落した。今回の世界的な経済・金融危機のマグニチュードがいかに大きいかを象徴する出来事と言える。ニューヨークダウ工業株30種平均の終値は7552.60ドル(前日比▲297.81ドル)。昨年11月20日に記録した直近安値である7552.29ドルとほぼ同じ水準にまで落ち込んだ。米国株は底割れ寸前の状況にある。

 取引時間帯の終盤には、過去最大となる7870億ドル規模の経済対策法がオバマ大統領の署名を得て成立したが、スケジュール通りの動きであり、しかも景気指標で対策の効果を確認できるのは先のことであるため、株価を押し上げる力はなかった。

 

 筆者は昨年10月23日の『「20年バブル」崩壊』で、米国の過剰消費構造の崩壊という歴史的な大変化に直面した市場参加者がこれから念頭に置いておくべき「6つのポイント」を提示。今年1月20日の『「6つのポイント」中間レビュー』では中間レビューを行って、考え方を変える必要はないことを強調した。17日の米国株急落およびその直前の動きは、「6つのポイント」のうち、(1)~(3)に沿った動きである。

(1)「グローバリゼーションと証券化を通じて世界中に信用リスクが拡散しており、『集中治療』が困難。金融危機・信用不安は拡大・深化・長期化せざるを得ない」

米国市場が祝日のため休場していた16日から、中東欧・ロシアの経済危機がユーロ圏の金融機関および経済全般に及ぼす悪影響が危惧されて、金融株を中心に株価は下げ始め、外為市場ではユーロの売りが目立っていた。ドイツを中心とするユーロ圏にとって中東欧・ロシアは、いわば「庭先」。ちょうど、米国にとっての中南米、日本にとってのアジアといった関係である。

 17日には米大手格付け会社ムーディーズが、東欧諸国の景気悪化が同地域で事業展開している西欧金融機関の格付けに悪影響を及ぼす可能性を指摘。これがグローバルな金融不安深刻化を市場に警戒させる追加的な材料になり、欧州および米国市場で、金融株が大きく下げた。