2017年7月、ドイツを訪問した習近平主席(前列中央)はドイツのメルケル首相とともに中国とドイツの青少年サッカー親善試合を観戦した。前列左は習主席の夫人・彭麗媛氏(写真:新華社/アフロ)

(譚 璐美:作家)

 4月15日、欧州でコロナ禍が吹き荒れる中、ドイツ最大のタブロイド紙「ビルト」が社説「私たちへの中国の負債」を掲載して激しく中国を批判した。コロナウイルスが世界中に拡大したのは「中国が全世界を欺いた」からであり、ドイツが受けた経済的損失の約1650億ドル(約18兆1500億円)を、中国は支払うべきだとも要求した。

 翌日、中国は「劣悪な要求だ」と反論したが、同紙は一歩も引かず、習近平主席を名指しして、「あなたの友好とは・・・微笑で偽装した帝国主義であり、トロイの木馬なのだ」と、激烈な批判を展開し、激しい舌戦はなおも続いている。

“経済的パートナー”ドイツからの厳しい言葉

 メルケル首相も4月20日、「中国がウイルスの発生源について、より透明性を持てば、各国がよりくわしく学ぶことができる」と、控えめながら中国政府に「透明性」を求めた。

 習近平主席にとって、メルケル首相の言葉は予想外のものだったろう。というのも、ほんのひと月前の3月22日、習近平主席はドイツに電報を送り、コロナウイルスの感染が拡大中のドイツに慰問の意を表し、「ドイツと共に努力することで両国の全方位的なパートナー関係を深め、中国とヨーロッパの関係発展を促進していきたい」と強調したばかりだったからだ。