新型コロナウイルス感染症のパンデミックが収まらないなか、米国の一部の州では経済活動が再開された。写真は人通りがまばらになったニューオーリンズの中心地、フレンチクオーターで卒業記念写真を撮る大学生(5月12日、写真:AP/アフロ)

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な蔓延は、医療問題だけでなく、経済問題としても社会生活を変えるまでになった点で深刻である。

 経済の流れが滞ると多くの人は閉塞感を感じる。それはまるでコロナウイルスが体内に入って血管を傷つけ、血栓を引き起こす現象に似ていたりする。

 製造、卸売、小売りをはじめ、旅行から不動産まで、コロナによる悪影響は社会全体に及ぶ。

 旅行業に携わる知人は、「キャンセル地獄です」という言葉で苦境を表現した。

「いまはじっと耐えて『コロナ明け』を待つだけです」とつけ加えたが、それは多くの方の心情を代弁してもいる。

 ただいつ「コロナ明け」が来るのかは、実際には誰も正確につかめない。

 予測を口にするエコノミストの言説も、経済が復調するまでの時間と指標はあまりにも不確実である。コロナの第2波、第3波がくる可能性も否定できず、数年かかるとの見通しも散見できる。

 回復パターンとしては大恐慌時代のようなU字型になると読むエコノミストと、中国や韓国の製造・小売りがすでに経験しつつあるV字型回復、また第2波が到来した後に回復すると読むW字型回復、さらにL字型という、不況に陥ってから景気がしばらく浮上しない悲観的な観測まで様々だ。

 ただ「ピンチこそチャンス」という言葉があるように、この時期に多額の投資を行ったところもある。