日本の入国制限強化について冨田浩司駐韓国大使(左)に抗議する韓国の康京和外相(2020年3月6日、写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

「どうしてこの時期に?!」

 3月5日午後、日本政府が中国・韓国からの入国制限に踏み切るというニュースが流れたとき、まず思ったことだ。

 私は入国制限自体は否定しない。だが、どうせやるなら、もっと早くやればよかったのにと思う。それに、中国にしても韓国にしても、全体的な感染者数は日本のデータからするとびっくりするような数値ではあるが、このところ1日当たりの感染者増加数はかなり抑えられている。あの巨大な中国でも100人台だし、韓国にしてもピーク時は900人増ということもあったが現在は急降下中で、3月8日は248人だった。

 すでに報じられているように、日本政府の発表に対して、韓国政府が激怒している。康京和外相が発表の翌日に冨田浩司駐韓国大使を呼び出し、「対抗措置」という強い言葉を使って抗議したことからも、その激怒具合は計り知れよう。

韓国にとっては最悪のタイミング

 韓国がなぜこれほどまでに怒っているかというと、その理由は主に2つある。

 1つは、事前に何の通知もなかったこと、そしてもう1つは、日本のデータが信用できないのに、その国から入国制限をされるのは遺憾だということだ。