2020年1月11日、台湾の総統選挙で勝利した蔡英文氏(写真:AP/アフロ)

「台湾の国民が四年に一度自らの運命を決める選挙が、無事行われました。

 我々がもっとも大切にしているのは、一個人や政党の勝ち負けではなく、民主主義の勝利です。今日も、すべての台湾人と一緒に民主主義を享受できることが、私にとって最大の誇りです。

 再び総統としての重責を託されたのは、国民が私にこれまで以上にリーダーシップを発揮し、未来を見据えた政策を実践することで、台湾をさらに邁進させたいからだとおもいます。

 そのため、国民の声に謙虚に向き合い、不動の心で困難を乗り越え、そして、同様に台日の絆を深めていきたいです!」

 蔡英文総統は、817万票という前代未聞の得票数で再選を決めた1月11日夜、ツイッター上で日本人に向け、日本語でこのようなメッセージを送った。これを日本では、「蔡英文政権の日本重視の表れ」と報じられた。

 だが、本当にそうだろうか? 台北で取材していると、むしろ台湾における日本の地位が、急速に弱まってきていることを感じた。

記者会見で日本人記者を指名するつもりナシ

 例えば、1月11日夜9時から9時40分まで、再選を決めた蔡英文総統の記者会見が、民進党本部前に作られた仮設テント内で開かれた。集まったのは、台湾内外の記者やカメラマン100人ほどで、台湾メディアの記者を除けば、日本人記者が圧倒的に多かった。

 だが、われわれ日本人記者がいくら挙手しても、司会役の民進党本部職員は指名してくれない。外国人記者で指名されたのは、米ニューヨークタイムズ記者と、英BBC記者の二人だった。あとは台湾メディアばかりである。