GSOMIA失効期限が迫るなか、ソウルで行われた継続を求めるデモ(2019年11月22日、写真:YONHAP NEWS/アフロ)

(古森 義久:産経新聞ワシントン駐在客員特派員、麗澤大学特別教授)

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権が日本との軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を言明しながら、期限切れの土壇場で延長へと態度を逆転させた。そのことに対して米国の有力研究機関から厳重な抗議が表明された。「韓国政府のGSOMIA延長は『暫定だ』という条件が付いており、中国を利することになる」というのだ。

 つまりこの抗議は韓国の中国に対する対応の甘さへの非難でもある。こうした動きは米国側の文在寅政権への不信や批判が根深いことを象徴していると言える。

GSOMIA延長は「条件付き」

 文在寅政権はGSOMIAが完全に失効する直前の11月22日、協定破棄の通告の効力を停止すると発表した。この結果、GSOMIAは同日から1年間再び延長されることになるとして、トランプ政権は韓国政府の措置を歓迎する旨を表明した。

 ところが文政権はこの措置について「いつでも協定を終了できる前提の決定だ」「協定の延長は日本の態度にかかっている」とも述べ、協定延長が条件付きであり、かつ暫定的であるという趣旨の説明を付け加えた。