9月10日、ソウルの韓国科学技術院で開かれた閣議に出席した文在寅大統領(左)と曺国法相(右)(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 数々の疑惑にもかかわらず、曺国(チョ・グク)氏の法務長官(法相)任命を強行した文在寅(ムン・ジェイン)大統領と政権に対する韓国世論の怒りっぷりが尋常でない。

メディアの最前線の記者が猛反発

 チョ・グク長官任命の当日の一日中、韓国最大のポータルサイトのネイバーには「文在寅弾劾」というキーワードが上位を占め、韓国の主要新聞も一斉に文大統領の独善を非難する社説を出した。

朝鮮日報 「民意と常識が破壊された文在寅とチョ・グクの国」
中央日報 「民心に逆行したチョ・グク任命、大統領が国政混乱を自任」
東亜日報 「未曾有の非正常がもたらす分裂、葛藤、混乱を耐えなければいけないのは誰か」
世界日報 「チョ・グク任命強行、怒った民心が怖くないか」
ソウル経済「チョ・グク氏の聴聞会の嘘は必ず究明しなければならない」
文化日報 「民権蹂躙の独善、詭弁政治、国家の未来が暗澹たるものだ」
韓国日報 「検察の捜査を受ける長官で検察改革を成し遂げるという文大統領」
国民日報 「チョ・グク任命強行、国民にまたも傷を与えた」

 このほか、メディア内でもチョ氏任命に対するスタンスを巡り、深刻な分断が起こっている。政権よりのハンギョレ新聞では、平記者たちがチョ氏に対する不利な記事を削除する編集長の辞任を求める声明を発表し、地上波放送局のKBSとMBCの記者らもチョ氏を援護する上層部に対する批判を公表しているのだ。特に、KBS労働組合は経営失敗とチョ氏報道関連の取材自律性を損ねた責任を問い、全社員が参加する形で、梁承東(ヤン・スンドン)KBS社長への信任・不信任投票を行う考えを明らかにした。