思わぬ波紋を呼び起こしている。日本高等学校野球連盟(高野連)は30日から韓国・機張で開幕する野球のU-18W杯に参加する高校日本代表・侍ジャパンが日の丸の入った従来のポロシャツを着用せず無地のものに変更することを決定。これに一部の政治家を含む有識者から次々と否定的なコメントが上がり、ネット上でも批判が渦巻いている。

 高野連側が示した理由は「日の丸が目立つ衣服とか、こういう状況なので韓国の皆さんの感情を考えて行動しないといけない」というもの。昨今の日韓情勢の悪化を受け、政治とスポーツは別問題という姿勢を強調しながらも選手たちの安全を考慮した上での対応策として〝自衛〟に走る形となった。

モチベーション低下を招く「日の丸外し」

 何かあってからでは遅い。そう考えた末の苦肉の策だったのかもしれない。とはいえ、この〝日の丸除外〟はさすがにいただけないと思う。確かに夏の甲子園期間中、U-18日本代表候補に選出されていたメンバーからは関係悪化の歯止めが利かない韓国でW杯が開催されることに大きな不安を覚えて「あまり行きたくないですね」とグチる声まで聞こえてきていた。

 しかしながら、その一方では彼らが「もし選ばれるのであれば、日の丸を背負う誇りをもって戦いたいです」「韓国で戦うのは正直不安なところもありますが、侍ジャパンの一員になれるのなら『これが日本の強さなんだ』というものを見せつけられるように頑張りたいと思います」などと一様に日本代表としてのプライドを失わない覚悟を固めていたのも事実だ。たとえグラウンド外で着用するポロシャツとはいえ、侍ジャパンの公式ウェアから日の丸を外すことはメンバーたちの代表としてのモチベーションを低下させてしまうような気がしてならない。