在庫管理・発注を自動的に行うIoT製品「スマートマット」。「Makers Boot Camp」の支援を受けスマートショッピングが開発した

 ベンチャーの起業家に「近未来の日本」を聞く企画、今回は「ダルマテックラボ」(京都市下京区)社長の牧野成将氏に話を聞いた。衰退傾向にある日本の産業をどう活性化するのか、彼にはその道筋がはっきりと見えていた。(企業取材集団IZUMO)

今までにないアイデアが出しにくい日本企業

 今は「技術の時代」でなく「アイデアの時代」だ。例えば「iPhone」。マイクやカメラはもちろん、内部に入っているGPSも加速度センサーも“技術的”には目新しいものでなく、iPhoneの開発前から存在したものだ。しかしこれを組み合わせてiPhoneに仕上げた故スティーブ・ジョブズの“アイデア”が凄かった。

 一方、筆者は様々な日本企業の取材を行う中で「面白いことの言い出しにくさ」を感じている。軽量化、小型化、ハイスペック化、低価格化といった「誰もが善と感じること」は言い出しやすい。しかし「こんなものつくってみたいんだけど」といった全体のコンセンサスがとりにくいものは会議で言い出しにくい。すなわち、今までにないアイデアが出しにくいのだ。

 そんな日本を尻目に世界の潮流は変わっていった。現在、耳目を引くのは、省エネのクーラーや小型の携帯でなく、UberやAirbnbのようなウェブサービス、セグウェイやスマートスピーカーのような斬新なプロダクトなのだ。一方、最盛期はグループ10万人超を抱えた「サンヨー」ブランドは消滅、シャープは外資の傘下になっていった。

 この現状に強烈な危機感を抱き、変えようとしている人物がいた。今回の取材先、「Makers Boot Camp(メーカーズブートキャンプ、以下MBC)」を運営する「ダルマテックラボ」の牧野成将社長だ。

Makers Boot Camp」を運営する「ダルマテックラボ(Darma Tech Labs)」の牧野成将社長