コワーキングスペースに込められた「仕掛け」とは。

 近年増えてきた「コワーキングスペース」。本連載では、國學院大學経済学部の山本健太准教授に取材し、同氏の研究からコワーキングスペースの実態や本来の“あり方”を考えてきた。

【前回の記事】「コワーキングスペースで『つながり』が生まれる理由」(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/57081

 ここからは、実際にコワーキングスペースを運営する事業者と対談し、この施設の意義や可能性をさらに探っていく。山本氏が対談相手に選んだのは、ツクルバ代表取締役CCOの中村真広氏だ。

 同社は、「co-ba(コーバ)」というコワーキングスペースを全国に展開しており、山本氏は「その運営手法を見ると、『つながりを生む』という本来の思想を丁寧に追求している印象があります」という。

 ポイントとなるのが、コミュニケーションにおける「たまたま」と「わざわざ」を誘発する仕掛け。実際の工夫や取り組みを話しながら、2回にわたり考察を深めていく。

2人が対談を行った「co-ba jinnan」。(写真提供:ツクルバ)

“言い訳の設計“が「たまたま」のコミュニケーションを誘発

山本健太氏(以下、敬称略) ツクルバでは、「co-ba(コーバ)」という会員制のシェアードプレイス(コワーキングスペース)を運営されていますよね。今、コワーキングスペースは増えていますが、単に誰でも働ける“箱”を作るのではなく、いろいろな人がつながり、文字通り“共創する場”を提供するのが本来のあり方だと思っています。co-baの情報や中村さんの著書*1を見ると、それをきっちりやられていると感じました。

*1:『場のデザインを仕事にする: 建築×不動産×テクノロジーでつくる未来』(学芸出版社)