北朝鮮の短距離弾道ミサイル発射を伝えるテレビニュース。韓国・ソウルにて(2019年7月25日、写真:AP/アフロ)

(黒井 文太郎:軍事ジャーナリスト)

 7月25日、北朝鮮は2発の弾道ミサイルを発射した。いずれも最大高度50キロメートルという低い軌道をとり、約600キロメートルを飛んだとみられる。仮にもっと高い軌道をとった場合、射程はおそらく800キロメートルを超えることになるだろう。

 仮に800キロメートルの射程なら、北朝鮮の東海岸付近から撃つとすれば、日本でも九州北部や中国地方などは射程に入る。ただし、飛距離はたしかにそれだけ飛んだのだが、弾頭を著しく軽量化して飛距離を伸ばした可能性もあり、実戦における正確な射程は不明だ。

ロシアの「イスカンデル」に酷似

 北朝鮮は翌26日、金正恩委員長の現地視察の下で行われた今回の発射の様子を撮影した写真を公開した。写真をみるかぎり、今年(2019年)5月に発射された短距離弾道ミサイル「KN-23」と同じに見える。

 KN-23はロシア製の高性能短距離弾道ミサイル「イスカンデル」に酷似したミサイルで、以下のような特徴がある。

(1)固体燃料型で、即応力が高い

 発射翌日の朝鮮中央通信(7月26日付)では「迅速な火力対応能力」と説明されている。

(2)低い軌道(デプレスド軌道)をとることで、迎撃を困難にする

 ロシアのイスカンデルと同様、今回の北朝鮮ミサイルも最大高度50キロメートルという低い軌道をとり、野球でいえばライナーのように飛んだ。70キロメートル以上の高度で迎撃する米海軍イージス艦発射のSM-3では迎撃ができず、40キロメートル以上で迎撃する在韓米軍配備のTHAADでも、迎撃範囲内では高度が下がっているため、まず対応できないだろう。