7月15日、青瓦台で開かれた首席秘書官・補佐官会議で、日本の輸出規制について協議する文在寅大統領(写真:YONHAP NEWS/アフロ)

 日韓関係は底なし沼にはまり込んで身動きができない状態にある。とくに、7月1日に日本政府が発動した輸出規制措置(半導体製造などに不可欠な先端素材が対象)の衝撃があまりにも大きく、文在寅政権の屋台骨を揺るがすような事態になっている。韓国側は、日本がまさかここまで強硬な手段に出てくるとは思わなかっただろうし、日本側は相手がそんなにうろたえるとは思ってもいなかったであろう。

隣国ながら互いに相手を理解しようとしない日韓

 隣国でありながら、日韓の認識ギャップがいかに大きいかに驚かされるが、その背景には歴史認識の問題をはじめ、相手の立場に立って思考するという習慣が双方に欠けていることがある。

 韓国にすれば、韓国(朝鮮半島全体であるが、便宜上こう書いておく)を植民地支配し、韓国民に与えた損害について、日本は永遠に謝罪し続けるべきである。加害者は日本、被害者は韓国という図式は不変であり、過去のことを考えれば、今回のような制裁措置は言語道断である。

 一方、日本にしてみれば、近代の帝国主義の時代に自国の独立を守り抜くことができなかった責任の一半は韓国にある。日本の植民地時代に被った苦痛については理解するが、それは、1965年の日韓基本条約(及び、それに伴う諸協定)で、賠償問題を含め全て解決済みである。

 国際法的には日本の主張が正当であるが、「従軍慰安婦」や「徴用工」については、感情的要素が大きく影響し、歴史認識の相違としてとして韓国側は問題にするのである。