香港デモ、参加者は「デジタル断ち」 当局の追跡警戒 「新疆化」恐れる声も

香港の立法会(議会)前で、シュプレヒコールを上げるデモ隊(2019年6月12日撮影)。(c)Philip FONG / AFP〔AFPBB News

 地球儀外交で世界の多くの首脳たちと意見を交わしてきた安倍晋三首相である。その成果を米国のドナルド・トランプ大統領はイランとの核問題解決に生かしてほしいと依頼した。

 イランとの良好な関係維持は日本の安全に直結することでもあり、大統領の要請を奇貨としてイランを訪問した首相であるが、国益を踏まえた交渉では、どの国も一歩も引かないことを改めて痛感させられたのではないだろうか。

 そうした中で、中国の覇権志向に米国をはじめとして世界が警鐘を鳴らし、一帯一路への協力に警戒感を抱き消極的であるにもかかわらず、昨年10月訪中して以降の首相の対中姿勢は国益の視点を放棄したのではないかと疑わせるものである。

 第2次安倍政権発足以降は対中接近に慎重であった首相が、今では「日中関係は完全に正常な軌道に戻った」と言い出したからである。

 首相には誰よりも多くの情報が集まるであろうし、われわれ国民が知り得ない諸々の情報を総合的に勘案した結果としての言動であろうが、中国首脳たちの発言よりも前向きかつ肯定的とさえ思える「完全に」といった捉え方が腑に落ちないのである。

 中国は孫子を生んだ国であり、自国の目的達成には三戦(世論戦・心理戦・法律戦)を厭わない国である。

 近年は三戦をしのぐありとあらゆる資源を活用した超限戦を活用しており、さらには敵対する相手さえ味方せざるを得ないようにさせるシャープ・パワーと言われる手段を駆使する国である。

正常化とはどんな状態か

 日中関係にさほど関わりがなく、したがって詳しくもない筆者には、何をもって「完全な正常化」というかがそもそも分からない。

 中国の首脳が苦虫を噛み潰したような顔をしながらそっぽを向いて嫌々握手する関係から、ニコニコ顔で近づき、「日中関係は正常に戻った」と言いながら握手する関係になったことは確かである。

 しかし、実際の行動は、「正常に戻った」ことを疑わせ、世界の批判を受けるようなことばかりである。

 日本はこれまで中国が隣に存在する国であるということや、漢字などの文化が中国由来という負い目も加わった感情で中国を眺め、普遍的価値と称される自由や民主主義、人権さらには近代国家の法治主義からはことごとく逸脱しているにもかかわらず、ほとんど問題にしてこなかったのではないだろうか。

 現代に在っては、経済的利益関係を主体にしてきたように思える。