「宇宙ですること」を体感できる技術が、人類と宇宙の距離を近づける。(写真提供:Yspace)

 来月7月でアポロ月面着陸から50年。そして来年2020年には東京五輪が開かれる。この2つの話題を結びつけるような「未来の五輪を想定した月面スポーツの体験」技術がある。日本のベンチャー企業「Yspace」が、月面データや人工現実感(VR)などを駆使して開発したものだ。宇宙体感技術が切り拓く、宇宙資源利用の可能性と課題を探った。

大臣が「すごい! 面白い!」と驚嘆

Yspaceの展示物を体験する河野外務大臣。8日の「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」1日目にて。

 6月8日と9日、茨城県つくば市で開かれた「G20茨城つくば貿易・デジタル経済大臣会合」。会場内の企業・団体出展ブースに、Yspaceが「月面スポーツ体験」をできる技術を展示した。大臣会合の合間に視察に来た河野太郎外相が、顔にゴーグルをはめ、手にスティックを持ち、競技に挑む。「すごい! 面白い!」と時間を忘れ、夢中になっていた。

(上)地面が白い月面上だと、重力が小さいため矢が遠く飛ぶ。(下)地面が緑の地上モード。月面上の感覚で矢を飛ばすと失速してしまう。
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 同社が展示したのは、「Yarinage MOON」。仮想現実技術で再現した「月面」で「やり投げ」を行い、時間内に標的バルーンを破裂させて得点を争う競技だ。

 頭部装着ディスプレイをかぶると360°の月面風景が現れる。利き手に持つスティックを振りかざし、指をボタンから離すと「矢」が放たれる。

 だが、ここは地球の重力の6分の1の月面。感覚よりも矢が遠くに飛んでしまい苦戦する。そうしているうちに今度は「地上モード」に切りかわり、放った矢が失速してしまう。

 月面と地球の違いを、身をもって体験できた。