メガバンク3行の2019年3月期決算が出揃った。各行とも連結純利益が揃って減少となったが、特にみずほフィナンシャルグループの落ち込みが激しい。同社は収益力、コスト構造とも他の2行に大きく水をあけられており、挽回の見通しも立っていない。近い将来、メガバンクは3行から2行になってしまう可能性すら出てきたといってよいだろう。(加谷 珪一:経済評論家)

基幹システムの刷新で大幅減益に

 三菱UFJフィナンシャル・グループの2019年3月期の決算は、一般事業会社の売上高に相当する経常収益が前年比10.4%増の6兆6974億円、純利益は前年比11.8%減の8726億だった。三井住友フィナンシャルグループの決算は、経常収益が前年比0.5%減の5兆7353億円、純利益が1.0%減の7266億円、みずほフィナンシャルグループは、経常収益が前年比10.2%減の3兆9256億円、純利益が前年比83.2%減の965億円だった。

 長期にわたる量的緩和策の影響で、各行とも利ざやが確保できない状況が続いており、手数料収入と市場運用で利益を上げるという図式が続いてきた。米国での運用に陰りが出てきていることなどから純利益が減少した形だが、利益の落ち込みはみずほが突出している。

 みずほが大幅減益に陥った最大の理由は、基幹システムの減損や海外債券の処理などで6954億円の損失を計上したことである。

 同社の中核銀行であるみずほ銀行は、2000年に第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が合併して誕生した。合併によって生まれたのは他行も同じだが、みずほの場合には旧3行の縄張り意識が特に強く、他の2行と比較して店舗の統廃合がスムーズに進まかったという事情がある。縄張り争いが最悪の結果として露呈したのがシステムの統合問題だった。

 今や情報システムは銀行業務の中核を担う存在だが、みずほの場合、仕様の異なる旧3行のシステムが併存する状況が長く続いてきた。統合プロジェクトは2002年から16年にわたって続けられ、その間、2回も大規模なシステム障害を発生させるなど混乱を極めた。

 2012年に新システムの開発をスタートさせ、2018年にようやく完成。2019年7月から本格稼働の予定となっている。新システムの開発には4500億円が投じられたが、投資に見合うだけの収益を上げられる可能性が低いことから、システム関連の固定資産の減損を計上した。

みずほフィナンシャルグループの坂井辰史社長(2018年8月20日撮影、写真:ロイター/アフロ)