海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦「かが」(2017年7月撮影、資料写真、出所:Wikipedia

(北村 淳:軍事社会学者)

 2019年5月28日、海上自衛隊のヘリコプター空母「かが」艦上に降り立った安倍首相とトランプ大統領は口を揃えて「日米同盟が強化された」と語った。

 ただし、安倍首相とトランプ大統領、そして多くの日本国民の間で、「日米同盟」の概念あるいはニュアンスが異なっていることは間違いない。

トランプ氏、横須賀基地を訪問 海自護衛艦「かが」視察

神奈川県横須賀市で、海上自衛隊の護衛艦「かが」の艦長と握手をするドナルド・トランプ米大統領(左から2人目、2019年5月28日撮影)。(c)Charly TRIBALLEAU / POOL / AFP〔AFPBB News

安倍首相にとっての日米同盟

 多くの日本国民は日米同盟の内容を次のように受け止めている。

「憲法第9条によって軍事力を限定的にしか保有しない日本が、万が一にも外敵の軍事攻撃を被った際には、アメリカが軍事力を投入して日本を守ってくれる。その代わりに、日本は米軍に対して自らの国土に多くの基地を提供し、少なからぬ経費を負担している」

 もちろんベテラン政治家である安倍首相にとっての日米同盟とはそのように単純なものではないに違いない。しかし、ことあるごとに「日米同盟が強化された」と口にしている安倍首相がもたらした日米関係における軍事的結果から判断すると、安倍首相にとっての日米同盟とは、日本国民一般と大差ないと言わざるを得ない。