上海モーターショーにトヨタが出展した「C-HR」の電気自動車(筆者撮影:以下同)

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 中国政府は2019年初めから、NEV(新エネルギー車)規制を本格導入している。一定数以上の販売台数がある大手や中堅の自動車メーカーに対して、EVやプラグインハイブリッド車など電動車の販売台数を個々に義務化するものだ。

 こうした法規制を導入したのは、アメリカのカリフォルニア州が最初だ。同州の環境局が1990年から施行しているZEV(ゼロ・エミッション・ヴィークル)規制法である。現在、アメリカでは同州以外に9州がZEV規制を採用しているが、あくまでも州政府の独自判断によるものであり、中央政府(連邦政府)は直接関与していない。連邦環境局としては今後、全米規模でのZEV規制の在り方についてカリフォルニア州との協議を進めたい考えだ。

 その他、英国、フランス、インド、さらには日本を含めた各国政府から、ガソリン車・ディーゼル車の販売抑制と電動車の普及に関するロードマップが提案されている。だが、現時点ではまだ法律として明文化されていない。

 つまり、中国のNEV規制が、現時点で唯一の全国規模での電動車販売台数規制なのだ。

 NEV規制では、初年度となる2019年に全販売の10%が電動車となるよう自動車メーカーに義務付けた。そして来年2020年には12%と義務化台数を徐々に増やすとしている。そのため、メーカー各社はNEV規制を睨んで中国でのEV生産・販売を強化する動きが加速している。