隣の芝生が青く見えるのは金融商品でも同じです。自分が保有していないもの、または持っていても少ない金額のものが好調と聞くと、とても気になるものです。その典型が最近の不動産投資信託(リート、Real Estate Investment Trust)の動きでしょう。

 日本のリート市場全体の値動きを示す東証REIT指数は、日本の株式市場が大きく下落した2018年秋ぐらいから相対的に上昇。今年(2019年)3月には1932ポイントと約2年10カ月ぶりの高値を付けました。その後も4月下旬まで好調な推移を見せています。

長期安定的な分配金を狙うJリート

 不動産は株式と債券に並ぶ、資産運用における主な投資先のひとつです。実際の投資には数千万円規模のお金が必要なことから、誰でも簡単に投資できるわけではありません。不動産を投資信託の形で小口にまとめて、個人にも買いやすくしたのがリートです。

 リートは東証に上場しており(Jリートと呼ぶ)、証券会社の口座でいつでも簡単に売買できます。2019年3月末時点の上場銘柄数は63。一投資口当たりの価格(株式の一口当たりの株価)は数万~70万円程度なので、実物の不動産に比べると投資のハードルはぐっと低くなっています。

 一般に不動産事業では、売買差益と賃料や管理費などから得られる利益を内部留保して、機を見てそれを投資に回すことで収益拡大を狙います。Jリートの場合はちょっと違います。内部留保からコストを差し引いた利益の大部分を投資家へ還元することで、法人税が免除されることが法律で決まっています。

 つまり、Jリートは投資口価格の値上がり益を狙うというより、長期の安定的な分配金を期待する金融商品ということができます。多くのJリートは年2回分配金を出しますが、2019年3月末時点での予想年間分配金利回り(加重平均)は3.91%。東証1部の平均利回り2.33%と比べてもわかるように、リートは基本的に分配金狙いの商品と考えてよいでしょう。