同時に、「はやぶさ2内部には、第1回の着陸で採取したサンプルがある。探査機そのものの価値が上がっている状態。どのリスクを許容して、着陸するかしないかも含めてプロジェクト内外のメンバーで考えていきたい」と慎重な姿勢を見せる。

 第1回着陸で採取した物質の量は、弾丸を打てなかった初代はやぶさに比べて、けた違いに多いとみられる。科学者にとって喉から手が出るほど欲しい「お宝」だ。ある科学者からは確実に試料を持ち帰ることを第一に考えて欲しい、メディアはクレーター内のタッチダウンを煽らないで、という声を聞いた。一方、エンジニアからは、(リュウグウ表面の状態によるが)第2回タッチダウンも可能という声も聞く。

 この点を津田プロマネに聞くと「人工クレーター内にタッチダウンするかどうかについての議論はずっとあった。でもサンプルがある今、決断の重みが全然違う」としながら「噴出物が採取できればいいので、もし人工クレーターが小さければその内部に着地しなくても(周辺の安全な場所で)いい。どんな場合でも、『できる仕立て』を用意してミッションに望んでいる。第1回のタッチダウンでもリスクはあった。『非常に小さいリスクでも冒しますか』という真摯な議論をしていかないといけない。次は厳しい判断になると思うが、議論は尽くしたい」。

 今まさに行われているクレーター探索は、平成最後の大仕事となる。JAXA久保田孝氏は「人工クレーターを平成のうちに見つけて、令和の時代にタッチダウンしたい」と語った。

 進化するはやぶさ2チーム。令和でも大躍進を期待したい。

運用成功の喜びを胸に、願掛けのだるまへ目を書き入れる津田雄一プロマネ(右)と佐伯孝尚氏(左)。