その探査が今まさに行われている。はやぶさ2はクレーター探索運用のため、4月24日16時42分(探査機時間。地上では17分後。以下同様)に降下を開始。高度約1.7kmまで接近して人工クレーターができたのか、リュウグウ表面を観測する。

 計画では、リュウグウの高度1.7kmに到達するのは4月25日(本日!)11時16分。12時53分には撮像を終えて上昇する。はやぶさ2のツィッターアカウント(https://twitter.com/haya2_jaxa)では、やや荒い画像ではあるものの、接近時のリュウグウ表面の様子が公開されるはずなので、クレーターが見えるかどうかぜひ注目してほしい。詳細な画像は後日公開される予定だ。

リュウグウ噴出物の不思議 ― なぜ非対称?

4月11日に公開されたDCAM3のデジタルカメラの画像。SCI作動約3秒後に撮影。アナログカメラの画像より鮮明に噴出物が捉えられている。(提供:JAXA、神戸大、千葉工大、産業医科大、高知大、愛知東邦大、会津大、東京理科大)

 クレーターの観測結果が待ち遠しいところだが、リュウグウに衝突体がぶつかった際に飛び出すイジェクタカーテンも、リュウグウ内部を知る手がかりとなるため科学的な注目度が高い。分離カメラDCAM3はその瞬間を、リュウグウから約1kmという距離から撮影した。アナログカメラは起爆5分前から約15分間、デジタルカメラは起爆4分前から3時間強にわたり数百枚の画像を撮像。すべてのデータをダウンロードし解析が行われるには時間がかかるが、公開された限られた画像から予想されることは何か?

 4月5日、衝突実験当日に公開されたイジェクタカーテンの画像について神戸大学の荒川教授は「推測で語るのは科学者としてよくないが」と前置きしながら語り始めた。まず、非常に興味深い特徴として「(イジェクタカーテンの)右側がはっきり見え、左側が薄く見える」点を挙げた。この原因として3つの仮説が考えられるという。

「1つ目は局所的に斜めの場所に当たったこと。2つ目は太陽光の加減。3つ目に面白い仮説がある。リュウグウのどこに当たるかでカーテンの形は変わる。(イジェクタカーテン)右側は弾丸(ソフトボール大)に比べて小さな粒子が噴出していると考えられる。一方、左側は大きなボルダー(岩塊)があることによって、細かい粒子が噴出しようとするのを妨げているのではないか」

 SCI作動約2秒後の画像のイジェクタカーテンは高さ70~80mとみられる(詳細は解析中)。大きなイジェクタカーテンがはっきり見えた理由について、「リュウグウ表面はボルダーに覆われているが、内部は細かい粒子があることが一因かもしれない」と荒川教授は推察する。

 クレーターの大きさはどのくらいだろう? 前回の記事で、砂の層に衝突できればクレーターは最大直径10mほどになると書いた。画像左側、粒子の噴出物を妨げたと予想されるボルダーはゆっくりと移動している可能性もある。その場合、過去の室内衝突実験から、直径5mぐらいに成長できるかもしれないという。いったいどんな変化がリュウグウに起きているのか、楽しみである。