セブンイレブンのトラブルを受けて、ローソンは無人営業の実験開始とセルフレジの全店導入を公表した。2017年から時短営業に取り組んでいるファミリーマートは、電機メーカーのパナソニックと共同で無人店舗の実験店を早くもオープンさせている。

 各社とも緊急の対応を迫られているが、本音では24時間営業を辞めたくない、かといって批判も受けたくない、仕方が無いから慌てて無人化の取り組みを加速させている・・・というのが実態だろう。

 今回のトラブルをきっかけに、24時間営業の是非を始め、多数のニュースが報じられている。しかしいずれも「各論」ばかりで、「総論」であるコンビニのビジネスモデルは全くと言っていいほど論じられていない。今回の騒動を理解するためにはビジネスモデルを理解する必要がある。なぜなら批判されている仕組みは、すべてコンビニビジネスの根幹をなすものだからだ。

「ファミマ王国」日暮里

 コンビニのビジネスモデルを最も象徴しているのは「24時間営業」だが、その他にも以下のような特徴がある。

・オーナーが独立した経営者として店舗を運営する「フランチャイズ制度」

・特定の地域に集中して出店をする「ドミナント出店」

・独自の計算方法で本部の取り分を決める「コンビニ会計」

・実質的に禁止されていると言われる「見切り販売(消費期限切れ前の値引き販売)」と、それによって生まれる大量の食品廃棄

 いずれも問題のある仕組みとして批判されているが、これらの各論がどのように総論であるビジネスモデルとつながっているか全く理解されていない。

 というのも、個々の特徴を繋ぎ合わせるとコンビニのビジネスモデルになるのではなく、ビジネスモデルを実現するためにこれらの仕組みがあるのだ。この辺りはメディアも含めて多くの人が「原因と結果」を取り違えているポイントだ。

 まずは実態を見ながら考えてみたい。

 筆者は山手線の日暮里駅近くに事務所を構えているが、日暮里は「ファミマ王国」だ。日暮里駅周辺のコンビニはそのほとんどがファミリーマートで、駅から徒歩10分の範囲内に10店のファミリーマートがある(駅ナカ2店を含む)。典型的なドミナント出店と言える。

 他のコンビニは山手線をはさんで駅の両側にセブンイレブンが1店ずつあるだけで、一番近いローソンは駅から徒歩10分歩いてやっと見つかる。

サークルK・サンクスが示すコンビニ戦争

 ファミマが日暮里駅周辺に集中した理由はドミナント出店に加えてもう一つ理由がある。駅から一番近いコンビニだったサークルK・サンクスが、合併でファミリーマートに衣替えしたのだ。

 サークルK・サンクス自体、名前の通りサークルKとサンクスの合併で出来ており、再度の合併でファミリーマートに吸収された。ローソンもスリーエフと合弁企業を立ち上げ、業界4位のミニストップは何年も前からローソンとの合併が取り沙汰されている。他にも各地域のコンビニチェーンが大手に吸収された事例は多数ある。