今後は「オープン化」が潮流となるか?

 OSやPCの性能に依存しない、柔軟な開発環境を実現するコンテナ技術。繰り返しとなるが、ビジネスにおける標準化・オープン化の流れが加速しつつある中で、こうした「特定のプラットフォームに依存せず、変化に柔軟に対応できる」ことは何につけても求められる要素になっていくだろう。

 例えば、大手パブリッククラウドサービス「Google Cloud Platform」のベンダーであるGoogleは、2014年に全てのソフトウェアをコンテナで運用していることや、毎週20億個ものコンテナを起動していることを発表しており、早くからコンテナ技術の重要性に着目していたことでも知られている。

 加えて同年、コンテナの運用管理をするためのソフトウェア(オーケストレーションツール)として、今や世界中で利用されている「Kubernetes」をオープンソースソフトウェアとして公開することを発表している。同社の一貫したオープン化の姿勢がうかがえるところだ。

 さらに直近では、今年4月10日(現地時間)に行なわれたイベント「Google Cloud Next '19」にて、Kubernetesをベースにアプリケーションのマルチクラウド対応を実現する新サービス「Anthos」の提供開始を発表し、大きな注目を集めている。Anthosのサポート対象にはAmazonのAWSやMicrosoftの「Microsoft Azure」といったライバルベンダーのクラウドサービスも含まれるため、Anthosを導入すればベンダーロックインに陥る危険性を回避できるのだ。

 米国の調査会社Synergy Research Groupが2019年2月5日に発表した、2018年第四4半期におけるクラウドインフラサービスの市場調査によれば、シェアトップのAmazon(約35%)と、2位以下のサービスとの間には大きな開きがある。第3位のGoogleはおよそ7%だ。こうした状況を鑑みると、Amazon以外の事業者が自社のサービスを使ってもらうためにオープン化を推奨する流れはある意味必然ともいえる。

 クラウドサービスを利用する企業側、特に主体的に導入するサービスを取捨選択し、自社のビジネスに活かそうと考える企業にとっても、オープン化は歓迎すべき流れだろう。上に挙げた調査結果を見ても、上位3企業は前年から着実にシェアを伸ばしている。Googleは今回の発表により、さらにシェアを拡大していく可能性も充分考えられる。

 今後、この潮流はより大きなものになっていくだろう。だがユーザーにとって選択肢が増えていく一方で、それを主体的に使いこなしていける企業とそうでない企業とで、差が広がっていきそうだ。

 社外のリソースを活用する際は、事前に必ず導入の目的を明示した上で、サービスへの理解を深めておく必要がある。「丸投げしたまま数年放置」といったことにならないように留意しておきたい。