12式地対艦ミサイル発射装置(写真:陸上自衛隊)

(北村 淳:軍事アナリスト)

 3月26日、防衛省が宮古島と奄美大島に陸上自衛隊駐屯地を開設した。これらの島には地対艦ミサイルシステムと地対空ミサイルシステムを運用するミサイル部隊と、ミサイル部隊はじめ航空施設や港湾施設などの防御にあたる警備部隊が配備されていくことになっている。ようやく、日本防衛に欠かせない南西諸島ミサイルバリアの構築がスタートしたのだ(本コラム・2015年7月16日「島嶼防衛の戦略は人民解放軍に学べ」、2018年4月12日「島を奪われることを前提にする日本の論外な防衛戦略」、拙著『トランプと自衛隊の対中軍事戦略』講談社α新書、など参照)。

「弾薬庫」は保良地区に

 ところが、宮古島での駐屯を開始した警備部隊が、駐屯地内の武器保管庫に中距離多目的ミサイルシステムを持ち込んだことが、地元反対派に問題視され「『保管庫』は実は『弾薬庫』だった」「島民への騙し討ちだ」などと糾弾された。その結果、岩屋防衛大臣は中距離多目的ミサイルシステムに装填する弾薬、すなわち中距離多目的ミサイルなどを島外に撤去するよう指示した。すでにミサイルや迫撃砲弾は宮古島駐屯地から島外に搬出されたとのことである。

 防衛省は駐屯地周辺住民に対する公式説明で、駐屯地内に「弾薬庫」は造らず、小銃などの小火器、小銃弾や発煙筒などを保管する「保管庫」を設置するだけである、としていた。そのため、住民たちが「騙された」と反発しているようである。

 いったん宮古島の外に搬出された弾薬は、島内の保良(ぼら)鉱山に建設される弾薬庫が完成し次第、地対艦ミサイルや地対空ミサイルとともに、そこに保管されることになるという。