トランプ米大統領は4月7日、不法移民対策を陣頭指揮してきたニールセン国土安全保障長官を事実上解任した。辞任・解任した閣僚では7人目。

「お前はリベラル・メディアの読みすぎだ」

 時折、こんなお叱りを受ける。

 「お前はニューヨーク・タイムズやリベラル系雑誌、オンラインメディアを読みすぎだ。偏りすぎている。もっと保守派の声に耳を傾けたらどうか」

 厳しいご指摘だ。弁解がましいが、米国社会の出来事を報じる時、真っ先に目に飛び込んでくるのは米主要メディアの報道だ(むろん、それを取捨選択するのは筆者なのだが)。

 その主要メディアが、フォックスニュースなど一部を除けば、ドナルド・トランプ大統領に極めて厳しい目を向けている。

 米主流メディアには、大統領が誰であろうと、時の政権を監視するのが自分たちの役割だという強い信念がある。

 国家より前にメディアができた国だ。たとえ建て前であろうとも「大統領は品行方正な人物だ」といった思い込みがある。政策云々もさることながら、品位を問う。

 さらにトランプ氏にはホワイト入りする前から「ロシアゲート疑惑」がつきまとっていた。モラー特別検察官の捜査が終了し、その概要がバー司法長官から公表されたが、一部主要メディアはまだ疑っている。

 だからトランプ氏にしてみれば、民意によって大統領に選ばれたのは俺だ、という自負心がある。

 こうしたメディアの反トランプ報道に、トランプ大統領が「米メディアは米国民(つまり俺の)の敵だ」と声を荒げるのも全く理由のないことではない。