どんなクレーターができる? 岩に当たるか砂に当たるか?

 史上初の小惑星人工クレーター実験。いったいどんな噴出物が巻き上がり、どんなクレーターができるのか、興味は尽きない。どんなクレーターができるかについては、衝突体が砂に当たるか岩に当たるか、また表面にある岩や粒子などの強度やサイズ、空隙率などによっても異なってくるそうだ。

 具体的には、砂の層に当たれば放出物(イジェクター)は最大、クレーターも最大になり、10mほどのクレーターができると期待される。一方、岩盤に衝突すれば放出物も少なく高速で飛んでいってしまい、クレーターが小さくなる可能性がある。和田氏によると、2月のはやぶさ2タッチダウンは、岩盤に当たって破片が舞い散ったのではないかと推定される。

 SCIでも「ボルダー(岩塊)に当たる可能性が高いと思っている。タッチダウンであれだけ大量の噴出物が出たので、(SCIでボルダーに当たったとしても)相当の穴が空いてくれるのではないか。半分願望だがやってみないと分からない」と和田氏は期待する。

 3月に米国で開催された月・惑星国際科学会議では、現在、小惑星ベンヌを探査中のNASAチームと活発な議論が行われ、はやぶさ2の衝突実験によって、リュウグウからどのくらいの量の噴出物が出るかに注目が集まったそうだ。「リュウグウ表面が柔らかければインパクターがずぽっと入っておしまい、とも考えられなくはなく、推定は難しいが、予想としてはたくさん出そう。クレーターができれば科学的に面白い。地下物質が出てくるため、科学観測で表面物質との違いが分かるだろう」(吉川真ミッションマネジャー)。

はやぶさ2の衝突装置運用を実演する、はやぶさ2プロジェクトエンジニア佐伯孝尚氏(左)と久保田孝JAXA研究総主幹。