韓国大統領、原発新設計画を白紙化 「ポスト原発の時代へ扉開く」

韓国南東部の古里にある原子力発電所で演説する文在寅大統領(2017年6月19日撮影)。(c)AFP/YONHAP〔AFPBB News

 「スーパーサイクル」と呼ばれた空前の半導体好況に暗雲が漂い始めているとはいえ、半導体は韓国の看板産業だ。

 サムスン電子とSKハイニックスは、2018年にそれぞれ6兆円、2兆円もの利益をたたき出した。そんな2社が、「電力確保」で予想外に苦労し、苦肉の手を打つことになった。

 2019年3月4日、SKハイニックスは主力の利川(イチョン)、清州(チョンジュ)工場内に、それぞれLNG(液化天然ガス)発電所を建設すると発表した。

 2020~2022年に1兆6800億ウォン(1円=10ウォン)を投じて、570メガワット級の発電所を建設する。それぞれ一般家庭50万世帯に電力を供給できるほどの規模だ。

脱原発政策とは無関係との説明

 「電力の安定的な確保のため」という説明に、産業界でも驚きの声が上がった。小規模のバックアップ用発電所としては規模が大きいからだ。

 今の政府のエネルギー政策に批判的なメディアはこのニュースに飛びついた。

 文在寅(ムン・ジェイン=1953年生)政権は、「脱原発政策」を進めている。

 環境問題や将来のエネルギー需給、電力料金などの面で批判的なメディアは、「今の政権の脱原発政策によって将来、十分な電力を確保できないという懸念を持ったため」と報じた。

 政策批判の格好の材料になってしまった。