中国企業を利用したスパイ活動「決してない」 李克強首相

中国・北京の人民大会堂で開かれた全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の閉幕後、記者会見する李克強首相(2019年3月15日撮影)。(c)FRED DUFOUR / AFP〔AFPBB News

「米中ハイテク覇権争い」により世界はブロック化する

 北京で開催されていた2019年の全国人民代表大会(全人代)が終了した。

 米ドナルド・トランプ政権を刺激する「中国製造2025」に言及する者はいなかった。あたかも、米中貿易戦争下において、鄧小平の「韜光養晦(とうこうようかい)」(才能を隠しながら、内に力を蓄え、強くなるまで待つこと)が復活したような状況である。

 李克強首相は、中国政府が中国企業にスパイ行為をさせているという欧米の批判に対して、次のように反論した。

 「(スパイ行為は)中国の法律に適合せず、中国のやり方ではない。スパイ行為は現在も将来も絶対にしない」

 しかし、私はこの主張を全く信じないし、これを信じる中国専門家はほとんどいないであろう。

 中国は、過去において国家ぐるみで先端科学技術などの入手を目的としたスパイ活動を活発に行ってきたし、現在も行っていて、将来においても必ず行うであろう。

 李首相の発言は、中国要人の「言っていることとやっていることが違う」という言行不一致の典型である。

 習近平主席が「中華民族の偉大なる復活」「科技強国」「製造強国」路線を放棄するわけもなく、トランプ政権が求める構造改革に応じず、結果として「米中の覇権争い」、特に「米中のハイテク覇権争い」は今後長く続くであろう。

 米中ハイテク覇権争いの焦点になっている華為技術(ファーウェイ)は、全人代開催中の3月7日、「米国で2018年8月に成立した国防権限法によってファーウェイの米国事業が制約を受けているのは米憲法違反だ」として米国政府を提訴し、全面的に戦う姿勢を見せている。

 ファーウェイの第5世代移動通信システム(5G)は、スウェーデンの通信機器大手エリクソンやフィンランドのノキアなどの競合他社を性能と価格で凌駕していると評価されている。