では、どうすれば日本企業は働きがいを高めることができるのか。

 ベストカンパニーとそうでない企業とで比較すると、「この会社の人たちは、仕事に行くことを楽しみにしている」「一体感を感じることができる」「経営・管理者層は、この会社に合った人を採用している」「経営・管理者層は、言うこととやることが一致している」「何か特別なことがあれば、みんなで祝っている」という設問で、ベストカンパニーのスコアが高かった。

「やはり『仕事に行くのが楽しい』など、衛生理論でいう好感情のところは、大きな違いになっているのだと思います。先ほどの働きやすさとやりがいでいうと、やりがいの部分の差が大きいですね」(野田氏)

 また岡元氏は、ベストカンパニーの自由記述欄は、外に向けたコメントが多かったと指摘する。「自分の会社から何が発信できるか、社会にどう影響しているかなどが書かれていました。そうでない会社では、比較的内向きなコメントが多いように感じます」(岡元氏)。

 そのような組織を作る上で、リーダーに期待されることは何だろうか。

「日本の企業はまじめにコツコツと成果を上げてきました。ところがここに来て、若干自信が無くなってきているように感じます。それは、これまでと同じ努力をいくら続けていても、これ以上の高い成果は得られないのではという現場感覚があるのではないかと思います。ですから、リーダーの皆さんには、新しい価値を生み出すような方法にマネジメントの舵を切ってほしいと思います」(野田氏)

 しかし、その指摘は、リーダーだけでなく、その下のメンバーにとっても持つべき問題意識だという。

「そのような価値創造をするのは自分たちなんだと、メンバーにも自覚してもらいたい。やってもらうだけでなく、自分がやるんだという気持ちを持つようにする。それもリーダーの役割かもしれませんが、イノベーションに向けてやりがいを高める方向で、一丸となってやっていただきたいと思います」(野田氏)