クレーター内に着陸できる場所があれば5月以降に着陸。一方、凸凹が激しいなど着陸できる場所がない場合は、クレーター内に着陸せず、クレーター作成時にリュウグウ内部の物質が飛び散った可能性が高い周辺の場所などを狙う。どこに着陸するかは「安全を最優先に考える」(津田プロマネ)。

衝突体で人工クレーターを作る際、はやぶさ2は安全な場所に退避する。(提供:池下章裕)

 小天体に人工クレーターを作り、内部の試料を採取できれば史上初だ。はやぶさ2は2kgの衝突体(純銅製)を秒速2kmで衝突させる。リュウグウ表面から飛び散った岩石で探査機がダメージを受けないように、はやぶさ2は衝突装置分離後に退避。衝突の瞬間は、はやぶさ2から分離したカメラがとらえる予定だ。

 難易度の高い超ミラクル級の運用になるのは間違いない。衝突体がぶつかった瞬間、小惑星リュウグウにいったい何が起きるのか。その映像が楽しみでならない。

2013年、神岡鉱山で行われた衝突装置の試験の様子。砂地に2~3mのクレーターができたそう。(提供:JAXA/日本工機)

 なぜ、あえて人工クレーターを作り内部の物質を採取するのか。

 リュウグウ表面の物質は、長年、太陽風や宇宙線などによる風化を受けている可能性がある。一方、内部の物質はそれらの影響を受けず、誕生時の状態を留めているからだ。水や有機物が地球にどうもたらされたのかなど、「我々はどこから来たのか」という大命題にヒントを与える貴重な試料は、リュウグウ内部に眠っているのだ。