若者の考え方を「ぬるい」と思う上司世代

――上司世代は、こうした若者の考え方や行動をどのように捉えているのでしょうか。

桑原 まず、「組織 個人」という意識がベースにある中年管理職は、「意味をあれこれ考える前に、組織の目標なんだからやれよ」と思うものです。

 そして、ゴールに向かうための「試行錯誤」から得られるものも多くあるのにもかかわらず、若者がその「トライ」もせずにいることに歯がゆく感じるのです。「まずはやってみたら」と。さらに「苦労する過程ややりきること自体に意味がある」という価値観を持つ上司にとっては、「やる気がない」と映るわけです。

 若者の「個人 組織」の考え方に対しては「彼らのために組織があると勘違いしている」「ここは学校ではない」と言う上司世代の方もいます。同様に、組織の業績より社会的価値という価値観に対しては「ぬるい」といった厳しい言葉さえ出てきます。

若者が「ダメ出し」に弱いのにも理由がある

――両者の溝は深いものを感じます。どのような対策が考えられますか。

桑原 細かなハウ(How)もありますが、ここでは必要なスタンスをお話したいと思います。それはまず、上司世代が「若者に問題がある、そしてそれは彼ら自身の責任だ」といった「若者責任論」から脱却し、彼らを理解しようとすることです。

 若者の行動や価値観は、私たち上司世代と同様、彼らが育ってきた環境や行ってきた習慣を土台になっているところが大きいと言えます。そこで、若者の育ってきた環境をまとめてみたのが図1です。

図1:経験の変化。
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 教育上では厳しい指導や強制の減少、個性尊重・非競争などが特徴的です。全体的に「厳しい環境で失敗しながら試行錯誤する」経験は減少しており、「最短距離で正解にたどり着きたい(ムダなことはしたくない)」という考えになりやすいとも言えます。