KOSKAの曽根健一朗代表取締役/CEO(左)と樋口海取締役/COO(右)

 製造現場において、製品ごとや工程ごとなどに実際にかかっている原価をリアルタイムで算出する新サービスが登場した。2018年10月創立のKOSKAが開発した「GenKan」である。原価管理が素早くラクに、しかも安価で行えるようになる。

 KOSKAは、技術やアイデアを競うハッカソンでたびたび受賞してきた一橋大学大学院の学生、曽根健一朗氏や、同ビジネススクール在学中の樋口海氏らが立ち上げたベンチャーだ。原価計算の理論などを研究する日本原価計算研究学会と、IoT(モノのインターネット化)時代のモノづくりの研究や推進を図る団体「インダストリアル・バリューチェーン・イニシアティブ(IVI)」による産学連携プロジェクトに参加していた曽根氏が中心になって、センサーデータの取得から原価計算、原価分析までを自動処理する仕組みを完成させた。

 原価管理に必要なデータ収集の煩わしさや、原価計算の精度向上および迅速化に悩む製造業の間で、GenKanの注目度は高まりつつある。自動車部品メーカーや自動車内装品メーカーなど数社が、すでに同サービスを使い始めている。美容関連製品メーカーや電子部品メーカーからの引き合いも相次いでおり、2019年3月には利用企業が10社近くに増える見込みだ。

3種類のセンサーで必要な情報を自動取得

 GenKanは、材料の投入から成形、加工、検査、梱包まで複数の工程からなる製造現場の状況を詳細に可視化し、製品ごとや生産ラインごと、あるいは工程ごとに実際にかかった原価をリアルタイムで算出する(図1)。そのために3種類のセンサーを使う。

図1 KOSKAが開発した「GenKan」のイメージ(出所:KOSKA)
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