「ふるさと納税」利用者の感覚はまさに「カタログ通販」

(舛添要一:国際政治学者)

「ふるさと納税」全国トップの大阪府泉佐野市が、2月5日、100億円分のAmazonギフト券を還元するキャンペーンを始めると発表した。返礼率が5割を超えるという異常な状態であり、石田真敏総務大臣も苦言を呈した。

 それは、過度の返礼品競争が展開されるようになったため、総務大臣通知で、返礼品は①寄付額の3割以内にすること、②地場産品とすることの二点を徹底するように、2年前から繰り返し全国の自治体に要請してきた経緯があるからである。総務省が2018年9月11日に公表したデータによれば、返礼率が3割を超えている自治体が246(全国の自治体1788の13.8%)もあった。また、190団体が地場産品以外を利用していた。

大臣要請に従った広野町では寄付額が20分の1に

 泉佐野市は、総務大臣要請を拒否した典型例であるが、逆に要請を受け入れた例として福島県広野町がある。町は地元で栽培する特別米を用意したが、返礼率が5割を超えたため人気殺到であった。しかし、総務省要請を受け、返礼率を3割以下に抑えたら、ふるさと納税申し込みがなんと20分の1に激減してしまったという。

総務省の通知に従った広野町は寄付額が20分の1に。泉佐野市は通知を無視してAmazonギフト券キャンペーンを強行。

 これが実態であり、ふるさと納税制度は本来の趣旨を外れ、今や「金持ちのためのカタログショッピング」と堕してしまっている。制度そのものを廃止して、中央集権の歪みを正し、「この国のかたち」を考え直す本格的な検討を始めたほうがよい。