写真:ロイター/アフロ

アジアカップから早くも2週間以上が経つ。Jリーグ開幕のカウントダウンがなされるが、これからの日本代表を占うためにも、森保一監督のマネジメントについて振り返ってみたい。サッカージャーナリスト飯尾篤史氏による分析。

四半世紀前の日本代表とダブるカタール代表

 単に敗れた、タイトルを逃した以上のショックと衝撃があった。アジアカップ決勝のカタール戦のことである。

 国家規模で育成に力を注ぎ、ヨーロッパから一流の指導者を招き入れて強化を進めたカタールの成果が今大会で結果として表れた。極めて論理的に、組織的にゲームを進めていく様子は中東のチームではなく、ヨーロッパのそれだった。

 自国開催のワールドカップに向けて急速に力を付けていく――。その姿は、かつての日本と重なるものがある。Jリーグ開幕前年にあたる1992年のアジアカップで初優勝した日本は、その後、選手育成と指導者養成を整備し、2002年日韓ワールドカップに向けてアジアの盟主へと駆け上がっていく。

 あの頃、ライバルの韓国のみならず、イラン、サウジアラビア、UAEといった中東の国々も、サッカーにおいて新興国である日本が急速に力を付けていくのを、脅威に感じていたはずだが、それと同じものを、今のカタールから感じる。

 この先、間違いなくカタールがアジアをリードしていくことになる――。

「(準決勝の)イラン戦ですごく良いパフォーマンスを出せて、この流れで行けるだろうという油断や隙みたいなものをチームに感じていたのに、それを律することができなかった」

 カタールとの決勝に1-3と敗れたあと、キャプテンの吉田麻也はそう嘆いたが、問題は別のところにあった。

 従来の4-3-3ではなく5-3-2で臨んできたカタールに対し、日本はこれまでどおりオーソドックスな4-2-3-1(守備時は4-4-2)で臨んだ。ピッチ上の至るところで生じたミスマッチをカタールは有効活用し、日本は後手に回った。