口だけ番長では誰も信用しない

 このセキュアベース・リーダーシップが成り立つには前提があります。本業で秀でたスキルを持つことです。大野君はここも見事にクリアしています。大野君は、「歌がうまいジャニーズ」的なアンケートでは常に1位や2位にランクインしています。またダンスでも「無重力ダンス」を得意とし、ダンスの腕前もジャニーズでもトップクラス。俳優としても、役になりきる演技力に定評があります。

 歌って踊れ演技ができるというアイドルの必須スキルで、誰もが認める実力をもっています。仕事ができない上司が「俺が課長なんだから俺の言うことを聞け!」と言っても部下は動いてはくれません。本業面で周りから認められないとメンバーをリードすることはできない時代になりました。まず、まずは一人前以上に仕事ができるようになることが先決です。

人として幅を出すには趣味もプロレベルに

 また、大野君はアートの才能を持っています。個展を開き、草間彌生さんや横尾忠則さんなど世界的なアーティストからも認められています。テレビ番組でTシャツなどのデザインも手掛けられることも多いのです。

 本業面以外は何もないのは寂しい限り。仕事一本だけでは人としての魅力は半減です。逆に「寂しい人」「つまらない人」と思われてしまっては不利です。裏・表のギャップで魅力を出すのは昔のアプローチです。今は仕事と趣味など、横に足していくことでギャップの幅を広げていくのが得策です。一番簡単で効果が出やすいのが趣味の世界です。趣味の世界で一目置かれることで魅力と懐の深さを出していきましょう。

 このように、大野君はチームのリーダーとして、非常に優れた資質を発揮してきました。だからこそ、嵐というスーパーアイドルグループを20年近くもまとめ上げ、ここまで成長させてくることができたのです。嵐のメンバーはそのことを熟知していますし、ファンもそのことをうっすら感じていたはずです。だからこそ、「何事にもとらわれず、自由な生活がしてみたい」とうい大野君の決断が、単なる気まぐれではなく、熟慮を重ねた末の判断であることを理解し、その気持ちを尊重しようという気持ちになれたのではないでしょうか。これが、嵐の活動休止という日本中に衝撃を与えた出来事も、大野君のこれまでのリーダーシップがあったからこその出来事だと考える所以です。